朝、何かに抱かれているいうか、暖かいく柔らかい抱き枕を抱いているような感覚がして目が覚めた。

「えっ?」
真正面に若葉の寝顔が数cm目の前にあったので、驚いた。それも、俺と若葉が両方ともが抱き合っているのを見て、一気に股間が爆発寸前のように膨張してくるのがわかった。
「まずい・・・」
思わず小声を漏らした。
目覚まし時計を見ると5時半だった。俺は若葉を起こさないように、絡まった腕を何とかほどき、静かにそーっと、ベッドを這い出し、急いでトイレに駆け込んだ。
トイレの便座に座り、何とか膨張したものを押し下げて用をたした後、何故かトイレットペーパーを手にとり、股間を拭こうとしている自分を見て笑った。何で寝ぼけて女の子ような事をしてるんだろうと・・・
鏡を見て、そう言えば、2~3日1回程度の髭そりを欠かさなかったのだが元々体毛が薄かったので、気のせいだと思いなおした。
目を覚ます為に歯磨きと顔を洗ったら違和感を感じた。肌がしっとりプリプリなのだ。たぶん、昨日、若葉が風呂上りにクレンジングの後、化粧水と乳液でスキンケアをしていて自分しないと変に思われると思い見よう見まねで、やったのが原因と思った。
へーと思って、よくよく観察してると、寝不足のせいか、目元の下に隈ができていた。
「あら、ヤだ!」と急いで寝室のドレッサーの前に座り、ファンデーションで隈を隠すとともにチークで血色がいいように塗り口紅をひいていると、ふと違和感を感じた。何でメイクの仕方を知っているんだろうと思っていると6時が近づいていたので、お弁当の支度を思い出し、それどころではないと、急いで若葉を起こさないように目覚まし時計のアラームをOFFにして静かにキッチンに向かった。


着替えて、前掛けをして、お弁当を作りと一緒に朝食用のお味噌汁と鮭を焼き、おにぎりとオカズをタッパーに詰めていると、若葉が起きて来た。
(俊亜季は、この一連の出来ごとに対して何の違和感も感じるどころか、後半には鼻歌まじりで楽しく料理していた)

「若葉、おはよう」
「おはよ~ふぁ~。起こしてくれたら手伝ったのに~」
あくびをかみ殺しながら言ってきた。
「よく寝てたから、先に支度しちゃった。先に朝食する?それとも着替えてメイクしてくる?」
「うん。朝食するわ。あっ今日は、ちゃんとメイクしてるね。」
「今日は、寝坊しなかったからね」
本当は目の下の隈を隠すためにしたんだけど・・・
「俊亜季は、これだけ完璧だといい奥さんになるわね」
「そんなことないよぉ~」
俺、男なんだけどなぁ・・・

・・・・・

朝食と学校に行く支度が整い、2人一緒に、お弁当を抱えて、学校に向かった。

講義室に入ると、歩多繁(フタバ)と清彦が話してたので、俺たちは駆け寄って行った。
「歩多繁さん、清彦さん、おはよう」
若葉と一緒に挨拶した。
「ねぇ、歩多繁、二人だけで話があるんだけど、いいかなあ?」
「いいよ。清彦、ちょっと出てくるから・・・」
と言いながら、二人連れ添って外に出た。

「ねぇ、歩多繁、今、若葉が親と喧嘩したらしくて、私の所に泊ってるのよ。何とか親と仲直りできないかな」
「そうなんだ。そう言えば、彼氏とも喧嘩したらしいと聞いたぞ?だから彼氏の所じゃなくて俊亜季の所に押しかけたんじゃないかな」
「えっ本当に?」
「彼氏の方に連絡とって、仲直りして貰うのと親との関係修復を依頼してみるよ。」
「彼氏を知ってるの?」
「お前も知ってると思ったんだが、医学部に行った誠だよ。」
「あたしも名前だけ知ってるけど医学部の誠さんなのね。それで若葉は学校でも彼氏と一緒に見かけることが無いんだ」
「今晩、誠の所に行ってみるよ」
「お願いね。」
「俺は、俺達のもっと込み入った話かと思ったんだけどなぁ。期待して損したなぁww」
「それは、また今度ねww」

昼休みになり、俺たちは、お弁当を広げ始めた。

「うわー豪勢なお弁当だね。ありがとう」
歩多繁は、感心しながら、俺と若葉に言った。
そこへ、清彦はいつも周りにいる女性達に見られないように、こそこそと遅れてやって来た。
「これ、もらいー・・・おいしいねぇ」
清彦は、そう言って、出汁巻き卵を自分の口に放りこんで食べた。
「はしたないよ清彦さん。俊亜季が心を込めて作ったんだから、皆一緒に食べよ」
「あたしと若葉が作ったのよ」
俺が訂正を入れた。
「殆ど俊亜季がメニューから全部作ったのよ。私なんか材料を洗ったくらいよ。本当に俊亜季は料理が得意なんだから・・・」
「・・・」
俺は、何故か勝手に手が動いて作ったので、自分で作った感じがなかったので、何も言えずにいた。
「さぁ食べようよね」
「「「いただきます」」」と皆が言って食べ始めた。
「ねぇ、明日も期待していいかな」と清彦が言った。
「これは俊亜季が歩多繁の為に作ったのよ、言葉を慎みなさいよね」
「そんなことないよぉ。皆が喜んで貰えると思って作ったんだから。明日も期待していいよぉ」
俺は作り気は無かったのだが皆の手前言ってしまったが、朝の作る時の楽しさを思い出し、それもいいかもと思い直していた。

・・・・・

その夕方に若葉と俺は学校から一緒に俺の家に帰る途中でスーパーが見えたので・・・
「若葉、夕食は、何がいい?」
「なんでもいいよ」
「何か決めてよ。お願い」
「じゃあ、鍋物がいい」
「じゃあ鶏肉の水炊きにしようか。それだと根菜類のストックが少ないな。買い物付き合ってね」
そう言って、スーパーの中に入った。

野菜と鶏肉を買っていたら、若葉が横から、何処からかお菓子やケーキを持って来て
「ねぇ、これも、買っていいでしょう」
「ダーメ!」と何度も繰り返した。
「ねぇ、このプリンは、いいでしょう」
「もう、お菓子類は栄養が偏るし太るからダメよぉ。プリンぐらいだったら、今度作ってあげるから」
俺は、また、変な事を言ってしまった。お菓子やプリンなど、生まれてこのかた作った事がないのだ。しかし、頭の中ではレシピが浮かんでいた。
あまり違和感を感じてないが、これは料理本を見た時に頭の片隅で記憶してたんだと納得させた。

何とか家に帰り夕食を作っていると若葉は、子供みたいに、ちょっかいを出してきた。
「若葉、じっと、待ってなさい」
「だって、暇なんだもん」
「また、抱きついたり、胸なんか揉まないでね!」
昨日の出来事を思い出し、また、これから、あの拷問みたいな、若葉のスキンシップがあるのかと鬱になった。
「えー、やっぱり、揉んで欲しんだ。」
「もぉ~、そんな事言うと、夕食も無し、そして、泊めてもあげないぞw」
「やだ~。静かに待ってる」
「そうだ、彼氏と喧嘩したって聞いたけど、どうしたの?」
「何で知ってるの?誰にも言ってないのに・・・」
「そういう事は、すぐに漏れるものよ。で、本当にどうしたの?」
「私の親に彼を紹介したら、私の両親が猛反対で怒ってね。彼が反論出来ずに帰ったんで攻め立てたら、逆切れしちゃって、別れたいとか言って連絡しても出てくれなくなっちゃったの。その事で両親とも居ずらくなてしまって・・・」
「やっぱり、それで、あたしの所に来たのね」
「お願い何とか、ほとぼりが覚めるまでだから、ここに居させて」
「分かったけど、今日、歩多繁に若葉の彼氏に会って、若葉との喧嘩と両親の喧嘩の仲裁をして貰おうとたんだのよ」
「そこまで、話が進んでたのー。俊亜季、ありがとう」
若葉は少し目を潤ませながら言った。

夕食も終わり、明日のお弁当の前準備も整い、また、他愛のない会話を若葉としていると、いつもの明るい若葉に戻っていた。
「少し、時間が早いけど、お風呂にお湯を入れて来るね。ただし昨日みたいな事になるの嫌だから、先に若葉がお風呂に入ってね。」
そう言って、お風呂場に言って、準備を終えて帰ってくると
「ねぇ、一緒に入ろうよぉ~~」
そう言って、また俺のネグリジェと替えの下着を用意していた。
「ダーメ! 先に若葉が入るの!」
「やだぁやだぁ」と若葉は、だだをこねる。
そのやりとりで、また、根負けして、一緒に、お風呂に入ることになってしまった。
「絶対に、抱きついたりしないこと。これが条件よ」
と念押ししたのが、また脱衣所で、もたもたと脱いでる俺にちょっかいを出し、また洋服をはぎ取られてしまった。
もう、どうにかしてぇ・・・・・・



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