翌朝早く目が覚めると若葉が俺の背中にピッタリ胸を押しつけて抱きつき、足は蟹挟みのように腰へ巻きつけて固定されていた。

若葉の柔らかい胸の押しつぶした感触が、俺の股間にを刺激して大きく膨張してきた。

何とか逃れようと、手を何とか解き、足を解くと手が絡み、手を解くと足が絡みついてきて、一向に逃れる事ができない。

「若葉ぁ、起きてるのぉ」
そう聞いても、寝息のみしてくる。まるで、起きてるかのように絡みついてくるのだ。
「若葉ぁ~、起きて~」
俺は、若葉の身体を揺すって見た。
「ま~こ~と、愛してる~」
そう言って、もっと絡みついてきた。どうも、彼氏と間違えているようだ。
「若葉!、起きて!」

後ろに手をまわし頭を軽く叩いてみたら、今度は、後ろに回した俺の手を奪い、若葉の胸に導き、パジャマの襟元から手を強引に誘導し直接に胸を触らせてきた。

下半身が自由になったので、回り込み、強引に手を引き抜き、若葉の身体を強く揺すってみたら、やっと、起きたようだった。

「あれ?俊亜季がなんで居るの? あれ? 誠は、何処にいったの?」
「寝ぼけないでよ、ここには、あたしと若葉しか居ないでしょ!」
「ごめん、さっきまで、誠と一緒に居る、夢を見てたみたい」
「もう、勘弁してよぉ、抱きついて来て、大変だったんだから~」
「ごめん、俊亜季と一緒にいると、安心すると言おうか、彼氏と一緒にいるような感じがするんだもん」
「彼と、あたしは、全然違うじゃない・・・」
「何だか、わからないんだけど・・・俊亜季は女性なのに何故か男性のような暖かさを感じるんだもん」
ドキっとした。
「さ・・先に朝食の準備してくるから・・・若葉、まだ早い時間だから、ゆっくりしててね」
そう言って、ごまかすかのように寝室から急いで逃げてきた。

俺は急いでトイレに入り股間の膨張を鎮めた。
先程の若葉の胸の感触が腕と背中に残っている。先程の事を思い出し、直接手と腕に感じた乳房の感触が、また強烈にフラッシュバックして、さらに股間が膨張してきた。
一瞬、オナニーをして鎮めようか考えたが、若葉に変に思われるいけないので、感触の残っている腕と背中を強く擦って忘れようとした。
そうこうしている内に、トイレで用をたして、やっと何とか鎮まった。
「もう、限界かも・・・歩多繁ぁ~早く助けてよぉ~」
俺は、弱音を吐いた。

歯を磨き、顔を洗っていると昨日より酷く目元の隈が出来ているの見えた。
「この目の下の隈、ファンデで隠せるかな~」
着替えと化粧をしに寝室に戻ると、若葉は枕と掛け布団を丸めて抱きついて、また寝ているようだった。
「いい気なもんだな~人の気持ちも知らずに~」
聞こえない位の小さい声で愚痴った。

化粧をして着替えをして、キッチンに向かい、朝食とお弁当の用意を済ませ、また、寝室に戻り若葉を起こしにいった。

「若葉ぁ、起きてぇ、朝食の用意ができたから」
と身体を揺すると、急に起き上がり、うつろな目つきで、また、抱きつきに来た。
「もう、いい加減してよぉ~」
と肩を掴み返して大きく揺らしたら、やっと完全に目が覚めたようだ。
「俊亜季、おはよう。よく、ねたぁ~」
「早く、準備してね。キッチンに居るから」
若葉の乱れたパジャマ姿を見ていたら、ムラムラしそうだったので、俺も充分に寝たいようと思いながら、逃げるように出て行った。

何とか若葉を連れて、学校に着くと、ニコニコしながら歩多繁(フタバ)が待っていた。
「歩多繁~おはよう。そうだ、若葉の彼氏との話は、どうだった?」気になっていたので、いきなり、本題を聞いた。
「誠が、もう一度、若葉の親に会って謝罪し話し合いたいって言ってたよ。それで、若葉に謝りたいといって本館の入り口まで来てるよ。」
「今、来てるの?、やったね。若葉ぁ~、よかったじゃない」
「皆、ありがとう、行ってくる。そうだ、講義に間に合わなかったら、代返をお願いしていい?」
若葉は、目を潤ませながら、言った。
「後は任しといてよ!、早く、いってらっしゃい」
「いってくる~」
そう言って、若葉は、駈け出していった。
「歩多繁、ありがとう。本当によかったわ」
これで、地獄のような日々から抜け出せるかも知れないという安堵の気持ちが嬉しさを倍増させた。
「俊亜季は、優しいんだね。若葉さんの事をここまで一緒に喜んでいるなんて・・・惚れ直したよ」
「・・・・・」
自分としては、勘違いなのだが、訂正するのも恥ずかしく、何も言えなかった。

昼休みになったが、あれから、若葉は戻ってきていない。
「歩多繁ぁ~、若葉の分のお弁当どうしよう。」
「余ってるんだったら、俺が、食べてやるよ。」
と横から清彦が割って入ってきた。
「清彦、食い意地張りやがって何だよ。2個も同じもの喰ったら多すぎるだろうがぁ、残さない自信あるのか?」
「女の子用のは、上げ底になって量が少ないから、いいじゃんかよ~」
「清彦、よく知ってるなぁ、女の子の食べてる手元をずっと見てやがったな!このスケベがぁ」

「皆、遅れて、ごめん~」
丁度その時、若葉が戻ってきた。
「ちっ」と小さく清彦が悔しかったのだろうか舌打ちをした。

「ねぇ、若葉、彼とは、どうなったの?」
俺は興味津々で聞いた。
「うん、日曜日に、私の両親に会って、話し合って貰うことにしたの」
「若葉、よかったじゃない」
「そこで、お願いなんだけど、今晩から彼の所に泊って、うちの親の説得方法を打ち合わせしたいんだぁ。それで、親には俊亜季の所に泊っている事にして欲しいの」
「そんな事だったらいいわよ」
「俊亜季ぃ~、ありがとう。今晩、荷物を取りに行くね。」
何だか、また、若葉が抱きつきに来そうな気配だったので身構て待っていたが徒労に終わった。

俺と若葉は連れ添って俺ん家に帰ってきた。
「ねぇ若葉、夕食は、どうするの?」
若葉が荷物を纏めていて、やっと、若葉から解放されて嬉しい筈なのに、その姿を見ていると寂しくなり、聞いてみたのだ。
「ごめんね。私、彼の所で一緒に食べようかと思ってるんだぁ。えへへ」
「もぉ、熱々な関係ね。」
何だか非常に寂しい思いがつのってきた。

玄関で、若葉がスニーカーを履きながら、何だか、少し含みもったような感じで言ってきた。
「ねぇ~俊亜季に頼みがあるんだけど、いいかなぁ」
「何?、あたしに出来る範囲内の事だったら、いいわよ」
「ありがとう。迷惑な頼みなんだけど、明日以降のお弁当も作って欲しいんだけど、いいかなぁ。俊亜季の美味しいお弁当と別れるなんて出来ないの~。ねぇ、掛かった費用は後で埋め合わせするから~お願い~」
「もぉ、水臭いわよ。そんな事でよかったらやってあげるわよ。費用なんか考えなくていいわよ。」
どうせ、俺と歩多繁と清彦の分は作る予定なので快諾したのだ。それに何だか料理してると楽しいし、若葉と繋がりが保てることも嬉しかった。

あれ程、若葉から解放される事を待ち望んでいたのに、どうしたんだろうと思いながら、何となく玄関先に置かれた若葉の荷物を見ていたら・・・
「俊亜季ぃ~ありがとう」
そう言って抱きつき俺の身体に胸を押し付けきた。
「もぉ~やめてよぉ」
今までの別れたくない思いは、今までの拷問のような日々を思い出して、いつの間にか吹っ飛び、やっぱり若葉から解放して欲しいと考え直した。


夕飯もお風呂に入っても、何だか家の中が異常に静かで、寂しく思った。あれ程、解放されたいと思ってたのに何だろう。

寝室に戻り、ベッドに腰掛けてボーっとしていた。

若葉の事が、好きになったのかなぁ・・・俺には、大事な歩多繁(フタバ)がいるじゃないか。そんな思いを振り切った。
「そうだ、歩多繁と一緒に暮らせばいいんじゃない・・・」
そう口にしたが、長く一緒に居れば、等価高価儀式をした秘密が、ばれるかもしれない事に気づき否定した。

等価交換儀式をおこなった部屋は鍵を閉めて、開かずの間にしてあるが、少し心配になった。

「だったら、歩多繁の家に、一緒に住むというのはどうだろう。でも、歩多繁は、母子家庭とは言え家族が同居してるし、無理だよなぁ」
そう言って、落胆した。

「歩多繁と一緒に居たいよう~~~」

俺は、心の底から、言葉を漏らしていた。



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