私達は世間話をしながらリビング戻ってみると、歩多繁が、ふてくされて待っていた。

「皆、遅いよ!」
「歩多繁さん、ごめんなさい」
「そうだ、母さん、話があるんだけどいいかな?」
「いいわよ。何?」
「俊亜季の前で、ちょっと・・・」
「俊亜季さんいも言えない秘密なの?あなた達は付き合ってるんだから内緒ごとは無しにしましょ! 俊亜季さんも気になるわよね」
俺も、気になった。

「ごめん、あの・・・その・・・切れ痔が・・再発してきたようなんだ。まだ出血は、まだなんだけど・・・その・・・あの・・・」
「ナプキンが欲しいのね。ちょっと待って・・・」
そういって、清美さんは出ていったが、すぐに戻ってくると
「買い置きが2個しかなかったの。多分、足りないわね。コンビニに行って買ってらっしゃい。」
「え~!男の俺が、買うのかよ」
女の姿の歩多繁が、言ってるので、違和感が大きく、おかしかった。

「俊亜季、他人ごとだと思って、笑うなよ。そうだ、俊亜季、一緒に買いに行ってくれないか?」
「あっ そうだ」
俺は、そういえば、どこかで見たような感じがして、自分の化粧ポーチを見てみたら、3個のナプキンがあった。
「とりあえず、これ使って下さい。」
そう言って、全部を渡した。
「ダメよ。どうせ返さないといけないんだから、自分自身で解決しなさい」
「わかったよ・・・・・」
「あたしも付いて行ってあげるから、後で行きましょう」
「ありがとう」
「世話のやける息子ね。変なところ見せちゃって嫌わないでやってね」

夕方近くになり、清美さんは、出かける支度を始めた。

「俊亜季さん、今度、ゆっくり会いましょうね。今回は、ごめんなさいね。仕事があるので、先に出ますけど、後はよろしく、お願いします。歩多繁、あんまり遅くならなように、俊亜季さんを帰してあげるのよ。わかった。じゃあ行ってくるわね。」
清美さんは、若々しく年齢を感じさせず、スタイルよく女性物のスーツを着こなして、そういいながら、玄関を後にした。

「本当に、清美さんて、カッコイイわぁ。憧れちゃうわね」
「ごめんな。慌ただしくさせてしまって・・・」
「別に、楽しかったからいいわよ」
「まだ謝りたい事が、あるんだけどな・・・。いいかなぁ・・・」
「何? 歩多繁の言う事だったら、何でも許しちゃうからぁw」
「今日は、趣向を変えてラブホを予約しようとしたんだけど、今日の朝に母さんの出張が明日の朝から今日の夕方になったものだから、家でやろうと思ってラブホをキャンセルしちゃったんだ。それで・・・」
「そんな事だったら、気にしなわよ」
「まだ、あるんだ。それでもって、切れ痔が再発したもんだから、血だらけになってもいいんなら、いいけど。どうかなぁ」
忘れていた。そうか、歩多繁は切れ痔と言っているが、実際は生理なんだ。これは、無理強い出来ない事ぐらいわかる。
「え~ そうなんだ。悪化させてバイ菌でも感染したら大変だもんね。わかったわ。残念だわぁ」
「今度、埋め合わせするから、今回は、ごめんね。」
「じゃあ、今日は泊ってもいい? そして一緒にお風呂に入って、一緒に寝ようよ」
「それで、許してくれるなら、俊亜季の仰せの通り従いましょうww」

・・・

「ねぇ、歩多繁。夕飯は、どうする?」
「母さんは、俊亜季を早く帰して、俺だけと思って、たぶん一人分しか用意してないんだ」
「じゃあ、あたしが、何か作ってあげるから、その一人分のおかずを二人でわけましょうよ」
「いいのか?」
「どうせ、女の子のアレを買いに行くんでしょww。一緒に食材を買いに行きましょうよ」
「笑うなよ。恥ずかしいんだから・・・」

近所のスーパーで、買い物をすませて、薬局に行き生理品コーナーに入ったら、歩多繁は真っ赤になって、もじもじしていた。
俺は、意地悪して恥をかかせてやろうかと思ったが、あまりにも歩多繁の仕草が可愛いので、やめた。
「本当にありがとう」
代わりにレジまで持っていき買ってあげたら、ものすごく感謝されてしまった。

自分のやった等価交換儀式のせいなので、心の中で歩多繁に謝ったのだが、このままでは誤魔化しできない事態を起こしかねないと感じ、早急に何とか対策しないといけないと思っていた。

翌日の日曜になり、歩多繁(フタバ)の寝ている横で、目が覚めた。

夢のような感じだった。これで、エッチもできれば、最高なんだけどなと思いながら、歩多繁の寝顔を幸せな気分で、ずっと眺めていた。

ふと、お腹すいたのを感じたで、朝食を歩多繁の為に作ってあげようと、歩多繁を起こさないように、ゆっくりとベッドからでた。
簡単に身支度をして、化粧も念入りにした後、朝食のメニューは、トーストとハムエッグじゃ芸がないと思い、昨日買っておいて食べなかった鯖の切り身を焼き、御飯と味噌汁とお浸しを作った。

作り終わった頃に、歩多繁が、キッチンに顔を出した。
「おはよう。いい匂いだな。別にトーストとコーヒーだけで良かったのに」
「おはよう。何だ、起きて来ちゃった。折角、目覚めのキスで、起こそうと思ったのに・・・」
「じゃあ、もう一度寝て来るよ」
「もう、いいわよ。朝食が覚めないうちに食べましょう」

世間話をしていると、歩多繁が、急に体調が悪いと言って寝てしまった。たぶん、生理痛だろう。
俺は、お粥を作り、いつでも食べれるようにしておいた。

俺は、歩多繁の寝顔を見ながら、幸せな気分でいた。そんな中で、今後の等価交換儀式で、今の状況を何とか出来ないかと思案していた。

寝ている歩多繁の横に居るだけで、いつの間にか、夕方になっていた。

「俊亜季、ずっと、いてくれたんだ」
「目が覚めたようね。身体は、大丈夫?」
「あぁ、鎮痛剤飲んで寝たからね。頭痛と腰痛と気分の悪さは、楽になったよ。」
「本当に大丈夫なの?」
「大丈夫だよ。俊亜季に愛情を貰ったからね」
「何、キザな事を言ってるの。そんな事が言えるなら大丈夫な証拠ね」
「今、何時かな?」
「夕方の7時過ぎよ。何かあるの?」
「ちょっと、やばいな。母さんが夜遅く帰って来るかもしれない。泊った事がばれるとやっかいかもしれない」
泊った事の証拠隠滅は、したが、深夜までいると、流石にヤバイと思った。キッチンを使った痕跡を思い出した。
「食事を作った痕跡は消せないから、今日は体調不良の歩多繁の家に、お見舞いに来て食事を作った事にしましょう」
「わかったよ」
「じゃあ、あたし、帰ることにするわ」
「あっ、送るよ」
そう言って、歩多繁は立ち上がろうとしたが、ふらついて、ベッドに倒れ込んだ。
「体調がまだ完全に戻ってないのね。あたしは、一人で大丈夫だから、身体を大事にしてね」
そう言って、長いキスをした。
「じゃあ、帰るね」
「今日は、ありがとう」

・・・・・

俺は自宅に帰って、今まで、思案した内容を再検討して、等価交換儀式について纏めていた。

俺としては、今の女性の立場は絶対捨てがたい魅力がある。周りから注目される事が快感にもなっているし、しかも、よくナンパされるのは鬱陶しいが、以前にナンパして断られた鬱憤をそのまま返して断るのも快感になっている。
他にも、女性と一緒に堂々と話せて、女性しか行けない所にも行けるし、女性の着替えを堂々と見れるのは嬉しい特典である。
俺が男に戻り、歩多繁を女に戻して、彼女を作るというも当初の目的でもあるのも事実で、これも捨てがたい。

そこで、考えの内容を絞って、下記の3つにした。

(1).歩多繁と俺の性別概念の等価交換
(2).歩多繁と俺の身体の等価交換
(3).若葉と俺の身体の等価交換

どれにしても、リスクが大きいのである。

(1)は、今の女性としての立場を捨てないといけない。もし交換した場合、今までの交友関係が、別物に置き換わるので心配である。

(2)は、女性として行動できる上に、現在の交友関係を維持できると思われるのだが、入れ替わった俺の元身体とエッチするなど、考えられないし、こんなダサい男(元俺の身体)と付き合うなんて出来ないという自信もある。

(3)は、女性のままでいいのだが、実質的に歩多繁とレズ関係になるのと、若葉と彼氏の交友関係に問題がでるかもしれないし、いつものように若葉が抱きついてきたり身体を密着して来るのが元俺の身体であるので続けて行く自信がない。

でも、どれにしても実行してみて、不具合があれば、また、その場で考えればいい。

取りあえず、等価交換儀式の期日を今週の土日に行う事として、それまでに3つの儀式を同時に準備しながら、選択肢を儀式直前で決めようと考えた。



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