翌朝、登校途中で、歩多繁(フタバ)を見つけたので、声をかけてみた。
「歩多繁ぁ、おはよぉ~」
「おはよう。昨日は、ありがとうな! 後で知ったけど、お粥まで作ってくれてたんだね。本当に感謝するよ」
「当然のことだよぉ~、気にしないで!」

「皆~、おはよう」
若葉が挨拶してきた。
「若葉、昨日、誠さんと一緒に両親と話し合ったんでしょ、でぇ、どうだったの?」
「俊亜季~、心配してくれたんだぁ~」
そう言って、俺に抱きついてきた。
「え~い、鬱陶しい、離れんかぁい!」
「そんな事いう、俊亜季じゃなかったのに、私、悲しいなぁ。そんな事いうと、胸揉んじゃうぞぉ~」
「本当に揉むじゃない!離れんかぁい!」
「そうだ、忘れてた。何とか説得に成功したの。ただね、私の両親が少し愚痴っぽい事を言ってるから、既成事実の妊娠を狙って毎晩頑張ってるの」
「声が大きいって!恥ずかしくないの?」
「えへへ~」
「若葉も幸せそうだね。俺らも既成事実検討しようか?」
「歩多繁も、のるんじゃない!」


「俊亜季、何だか、肩の荷がふっきれた感じだね。何か、いい事あったの?」
「うん、歩多繁のお母さんの清美さんと会って、公認してもらえたの」
「へぇ~、よかったじゃない。歩多繁のお母さんて、清美さんっていうんだ」
「そうなんだ。それで、母さんの名前から一字使って、俺の名前を清彦にしたかったらしいけど、今じゃ、あの清彦と被らなくて、良かったと思ってるよ」
「清彦って名前だとハーレム清彦と同じでプレイボーイになってたかもね。それで、歩多繁さんの名前は、誰がつけたの?」
「若葉も清彦のあだ名を知ってたんだねwww。・・・俺の名だけど、多分、亡くなった親父がつけたんじゃないかな?分かんないけど」

「えっ!俺の名前が何だって?」
清彦が顔を出してきた。
「「「なんでもないよ!」」」
俺らは、声をそろえて反応した。
「妖しいな? 清彦って単語が聞こえたような気がしんだけどな」
「気のせいだ。何もないから安心しろ。そう言えば、いつもの女の子達はどうした」
「鬱陶しかったんで、逃げてきた」
「女の子をそんな扱いにしてるのに、なんでモテるんだ?」
「向こうから寄ってくるんだから、わからんよ」
「清彦さんは、交友関係が凄く広くて、成績優秀な上に、特に女の子には、頼りがいもあるし、気を使ってくれて優しいのよ。だからいいのよねぇ、俊亜季?」
「ごめんなさい、あたし、清彦さんとは、最近仲良くなったから、よく知らないの」
「あっそうかぁ、歩多繁、一筋だもんね。知らないの当然だよねww。清彦さんも観念して恋人でも作れば良いのにぃ。そうすれば、コソコソ逃げなくて良いのにねww」
「清彦、特定の付き合ってる人は、いるのか?」
「俺は、基本的に硬派なんだ。誰でも平等に付き合うというのが主義なんだ。そんな軟弱な事はできん!」
「じゃあ、昨日の外人ギャルとの合コンは何なんだ? 確かナンパで、知り合った関係と聞いたがな・・・www」
「あれは、ナンパじゃない! ちょっとした手違いで知り合った男性から、皆とカラオケをしないかと誘われただけだ」
「あぁ、そうしといてやるよwww」

・・・

昼休みになり、歩多繁(フタバ)が、仕切り始めた。
「えぇ~!重要な話があります。この度、俊亜季の作るお弁当は有料とし料金を徴収します」
「「えー、聞いてないよぉ」」
「歩多繁、誰が、決めたんだよ」
「俺の独断で決めた。つきましては、1食につき150円を俊亜季に支払うように!」
「俊亜季、そんなに安くていいの?採算合うの」
「うん、何とかね。その予算内で安い食材を選定してみたの。食材は安いけど、内容は今までと変わらないから、安心してね。そうだ、若葉は量が少ないから100円でいいよ」
「俊亜季ぃ~、ありがとう」
「え~い、そんな事で抱きつくな! まだするなら150円にするぞぉ」
「150円でいいなら、抱きついていいのね」
「じゃあ1000円ね」
「えぇ~わかったわよ。自粛するから100円にしてね。でも悲しいな!」
「俺も俊亜季さんに悪いなと思ってたんだ。いいよ、俺は払うよ。本当に150円でいいの?安いね」
「そうだ、皆を勧誘して、お弁当販売するのは、どう?」
「若葉ぁ~ それだけは勘弁して~ お願い」
「転売して儲けようと思ったんだろう」
「えへへ・・ばれたか」
「冗談は、それぐらいにして、皆ぁ、食べましょう」


今日の歩多繁(フタバ)は、切れ痔と言ってるが、実際には生理2日目で、きついだろうに、何も無いように振舞っていた。

俺は自分の事を優先して考えていたが、やっぱり、等価交換儀式は、歩多繁の身体の事を考えて、早急に男性の身体にした方がいいのかと思案していた。
性別概念も女の子にして、純粋に、女の子として処理できるようにした方がいいのかもしれない。

今日は、皆と会話しながらも、悟られないように、そんな事を考えていた。

俺自身において、皆が何かが吹っ切れたように感じたのは、多分、次の段階に移行することを決心して、落ち着いてきたのと、今の環境が心地いいので、慣れてきた為だと思う。
女の子と真面に話す事すら出来なかった俺が、今じゃ違和感無く話しているのは、大きな進歩だし、この環境が、一番自分に合っているのだと思った。

まだ決行日までには時間がある。結論をだすのは早いし、当初の計画通りギリギリまで検討して、いいだろう。


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