若葉と誠さんが、妙にベタベタと甘え始めたので、ここに居るのは、無粋というものだど理解して、二人にお礼を言って逃げるように出て行った。

「マイケルさん、本当にイケメンだったなぁ・・・」
小声で独り言を言いながら、先程のマイケルを思い出していた。
俺が、マイケルクラス級のイケメンだったら、よかったなぁ。
そう思って、元々の俺の身体に、マイケルの顔をすげ替えて、想像してみた。
やっぱり、髪の毛は、男らしく短髪でビシッと決めて、髪色と眉は、ブロンドから黒にして、目の色も鳶色から茶系にして、肌は、白人特有の色白から、ほんの少し色黒くしてみてたら、凄くカッコイイのだ。
今の華奢な身体より、ガッチリした、元々俺の身体の方が似合っていた。
ふと、マイケルの初めの印象の女顔である事を思い出し、若葉の身体に、マイケルの顔を乗っけてみたら、どうなるんだろうと思って、悪戯心で、想像してみた。
若葉の顔だけマイケルにして、髪型をもっと女の子っぽくして、化粧を施してみると、これもいいのだ。

そんな事を想像していたら、若葉と誠さんの二人を思い出して、胸がキューッと締め付けられるような思いが込み上げてきので、俺も早く歩多繁(フタバ)に会って、甘えたいなぁと思い、足早に歩多繁の家に急いだ。


歩多繁の家に着くと、真っ暗で、電気が点灯していなかった。
「あれ?留守なのかな」
玄関の呼び鈴を押してみた。すると、怠そうな歩多繁の声が微かに聞こえた。
もしかして、気分が悪くて、ふせっているのかと思い、ドアノブを回してみたら、鍵がかかっておらず、そのまま開いた。

暗闇の中で、怠そうに歩多繁が出て来た。
「ごめん、寝てた」
「歩多繁、そんな身体は、大丈夫?」
「大丈夫だよ。よく寝たから気分はいいよ」
「食事は、ちゃんと食べた?」
「いや、帰ってきて、そのまま寝たから」
「じゃあ、何か作ってあげる。ところで清美さんは?」
返事も聞かず強引にキッチンに入り、冷蔵庫をあさった。
「別にお腹すいてないから、いいよ。それと、母さんは、たぶん、もうすぐ帰ってくるから、その時に何か作って貰うから・・・」
「やっぱり体調悪いんじゃないの? やっぱり寝てなさい。お腹に優しいもの作ってあげるから」
そう言って、中華風のお粥を作ると、まだ、歩多繁は居間にいたので、お粥を持っていき、ふーふーしながら、「あ~ん」と口元まで持っていってやると
「よせやいww。そんなに病人じゃないよww」

俺も、女の子に、こうされたかったけど、逆の立場も楽しいものだと思い、からかい半分で、強引に歩多繁に食べさした。

身体が怠そうな歩多繁を見ると、なんだか、代われるものなら代わりたいという思いにかられた。
俺は、生理の経験がないので、この苦しみは分からないが、早くこの状況をなんとしたい気持にも襲われたのだった。

「ゆっくり身体を休めてね。清美さんが帰る前に、あたし、帰るね」
後ろ髪を引かれる思いで、清美さんが、帰る前に帰ることにした。
「じゃあ明日、学校でな」
「身体を冷やさないでね」
そう言って、帰った。

やっぱり、等価交換儀式は、俺と歩多繁の身体交換が優先されるべきなんだろうかと考えていた。
でも、超ダサい元々の俺の身体と付き合うなんて、出来そうにないしな・・・

若葉と身体を交換して、生理の苦しみを知ってから、歩多繁と同じ苦しみを分かちあえるような気がしたので、その後で対応策を考えるのもいいかも知れない。
一瞬、マイケルの顔が、俺の頭の中をよぎった。若葉になって、マイケルの顔と交換して美女になるのも嬉しいかもという邪な思いが浮かんできたのだが、首を横に振り考えを断ち切った。

そうだ、俺と歩多繁の身体を交換した後で、マイケルの顔と歩多繁になっている元々の俺の顔とを交換すれば、解決するという考えが浮かんだのだが、他にも解決策が浮かぶかもしれないと思い、どちらにしても、儀式直前まで決定は保留とした。


翌朝、学校で・・・

「歩多繁、身体は、もういいの?」
かなり、元気そうに動いている歩多繁をみて、一瞬だが気怠そうな表情を見せたので聞いてみた。
「あぁ、大丈夫、なんともないよww・・・・・・。忘れる所だったよ。はい、俊亜季」
そう言って、歩多繁は、俺に紙袋を手渡した。
「何?」
「ここでは開けないでくれよ。恥ずかしいから・・・。いやぁ~、母さんが、張切っちゃってねぇww。もう出来たから、渡して来いってさぁw」
「もしかて、あれ?」
「そう、あれw」
「何?、秘密のプレゼント?、いいなぁ」
若葉が、近くで聞きつけて、いきなり袋を奪っていった。
「ダメよぉ~。恥ずかしいじゃない。ねぇ、返してよぉ~」
「ダ~メ、何かな?」
若葉は袋から全部出してしまった。
「あら~、可愛いランジェリーじゃないw。キャミまであるww」
キャミソールを大きく広げて見せた。
「歩多繁から、乙女の下着のプレゼントだぁ~。何か意味が深そうねぇww」
「もぉ~。歩多繁のお母さんからの贈り物なのよ。恥ずかしいんだから・・・」
俺は、そう言いながら、キャミソールを奪い返していると・・
「俊亜季のサイズは、やっぱい、デカイわねぇww」
今度は、そう言って、自分の胸にブラをあてがって、言った。
「もぉ・・・皆が見てるじゃない。恥ずかしい・・・」
俺は恥ずかしさで顔が真っ赤になりながら、何とか、全部奪い返して、うなだれていた。
可愛いデザインのブラ&ショーツ3組とキャミソール1着が入っていた。
「恥ずかしがってる俊亜季は、やっぱり、いいわねぇww」
「歩多繁も、笑って見てないで、助けてくれればよかったのに・・・」
俺は、上目づかいで、歩多繁を見つめた。
「俊亜季が可愛いんで、つい観賞したくなってなww」
「あたしは、ハムスターや熱帯魚じゃないよぉ」
「その例えは、いいわねww。うん、よしよし、私の愛玩動物にしたいなぁw」
若葉は、そう言って、俺の頭を撫でてきた。
「若葉まで、なによぉ~。あんたは、ムツゴロウさんじゃないでしょぉ~」
「お~よしよし」
そう言いながら、もっと抱き寄せて、頬ずりするかのように顔を寄せてきた。
「もぉ~、やめんかい!」
「わぁ~俊亜季が怒ったwww」
「もぉ~、歩多繁も静観しないでよぉ~」
やっと、解放された。
「そうだった。もう一つ言い忘れるところだった。今週の土日は、空いてるか?」
歩多繁は、若葉に聞かれないように、俺の耳元に近付いて肩を抱いて話した。
「歩多繁、ごめんなさい。その日は、金曜の夜から親元に帰らないといけないの。何か用なの?」
「そうなのか、体調が戻ったら、前回の埋め合わせをしようかと、思ったんだけどなぁ、それじゃ、仕方ないね」
「えぇ~、どうしよう。なんとかしたいんだけど・・・・」
ここまで、等価交換儀式の準備が整った段階で、今からキャンセルで、1週間も伸ばすのは、避けたいのだ。
「いいよ。俊亜季の都合のいい時間が出来たら、言ってくれよ。そうだ、両親に会うんなら、俺達の仲をそれとなく、打診しておいてくれないかなぁ」
「うん、何とかやってみる。たぶん、大丈夫よwww」
「えっ何、親元に帰って、二人の仲を報告するんだ」
横から聞き耳をたてていた若葉がニコニコしながら話しかけて来た。
「そ、そうなんだよね」
「頑張って、言ってきなさいね」
「うん」

前もって、根回しの準備をしようと思ったが、何とかなったようだった。これで、心おきなく、儀式に専念できそうだ。



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