昼休みになり、いつものメンバーで食事をしてたら・・・
「歩多繁(フタバ)、今晩、暇か?」
清彦が、急に聞いてきた。

「何かあるのか?」
「今晩予定してたコンパのメンバーがドタキャンしたんで、代わりに誰かいないかなと思って、いろいろとあたってみてるんだけど、急な話で誰も予定が空いてなくてな」
「もしかして、また外人ギャルとのカラオケか?」
「そうなんだ。だから、俊亜季さんに許諾が必要かと思って、この場で聞いたんだが、ダメかな? 俊亜季さん、彼に連れだしていいよね?」
「今のメンバー構成は、どうなってるんだ?」
「俺を入れて、男性2人と女性3人なんだ。俺以外は、外国人だけど、全員が英語より日本語が達者で、逆に英語を話していると違和感がある連中なんだよ」
「わぁ~面白そうね。あたしも入れて欲しいなぁ?若葉も参加したいよね」
「私も興味あるけど、今日は誠さんと約束があるんだw」
「何?、気になるなぁ、約束って・・・」
「えへへw、デートなのw。一緒にショッピングに付き合って貰って、狙ってたアクセサリーをゲットするのw。そして、締めはラブホで・・・うふ!」
「なによぉ、それぇww。熱いねぇ」
「じゃあ、俺と俊亜季の二人で、参加するのは、どうだ?」
「いいよ。その方が盛り上がって嬉しいよ。この後、すぐ近くで、その男性の外国人と会うんだけど言っとくよ」
「これから会うんだったら一緒に行ってもいいでしょ」
「いいよ。暇だったら、皆一緒に行くか?」
「あぁ、いいよ」「いきましょ」「いいわよ」

・・・

大学のキャンパスにある広場のベンチに女性が一人で座っていた。
「もう、来てるな。あいつがそうだよ」
そう言って、清彦はベンチの方に向かった。
「清彦、さっきは、男性とか言わなかったか?」
歩多繁は不思議がりながらいった。
「行けば、わかるww」
「あっー! マイケルさんだ!」
「本当だ、マイクだ」
「何だ、知ってたのか。驚かそうと思ったのに・・・ww」
「俺は知らないぞ。誰だ?」
「歩多繁さん、会えばわかるよww」
俺は、歩多繁を引き連れていった。
「よぉ! マイク。待たせたな」
「こんにちは、清彦。あれ?若葉さんと俊亜季さんじゃないですか」
「あたしの名前、覚えてくれてたんですね」
「綺麗な女性の名前は忘れません」
「お世辞が、上手なのねww」
「お世辞じゃ、ありませんよ」
「私はどうなのよw」
「若葉さんも綺麗ですよ」
「何か、付け足したような感じね」
「清彦、この方は誰ですか?」
「忘れてた。今日のカラオケに参加して貰う、俺の親友の歩多繁だ。そして、オーストラリアからの留学生でこの大学の大学院生のマイケルだ」
「よろしく、歩多繁といいます」
「マイケルです。マイクと呼んで下さい」
マイケルと歩多繁は、握手をした。
「マイク、今日は、歩多繁と一緒に俊亜季さんも、参加したいんだが、いいか?」
「歓迎します。是非、参加して下さい。若葉さんも参加するのですか?」
「残念だけど、今日は約束が有って行けないの」
「そうでしたか、残念です」

「そう言えば、マイク、何で清彦君を知ってるの」
若葉が、不思議そうに話した。
「かなり前の話ですが、ナンパされましたww」
「し、失礼な事を言うなよぉ。あれはだな、駅で困っている人を見かけたんで、声をかけただけじゃないかぁ~」
「親切に、いろいろと教えてもらいました。後で知ったのですが女性だと思ってたそうですww」
「あぁ~、それで、勘違いで知り合った人というのは、この事だったのか」
「歩多繁、誰がそんな事を言ったぁ」
「昨日の朝、言ったよw」
「私も聞いたわよww。ねぇ、俊亜季も聞いたでしょ」
「えぇ、あたしも聞いたような覚えがあります」
「これじゃ、逃げられないなw。何処が硬派だったんだぁ?w」
「俺は、女性だから、困ってるのを助けた訳じゃない。困ってる人は誰でも助けるのが俺の主義だ。文句あるか」
「わかった、わかった、文句はないよww」

・・・

俺と歩多繁と清彦は、学校の帰りに合流してカラオケボックスに行った。
「マイク、もう、来てたんだ」
「皆が来るのを待ってました」
「そうだ、今回は、新しい参加者がいるので、メンバー紹介しましょうか」
「そうだね。右から順に言い合いましょうか」
「じゃあ、あたしから、理学部の1年の俊亜季と申します。よろしく、お願いします」
「同じく理学部の1年の歩多繁と言います。よろしく、お願いします」
「皆は知ってると思うが、俺が、理学部の1年の清彦だ。よろしく」
「僕がオーストラリアから留学して来たマイケルです。マイクと呼んで下さい」
「私は、アメリカから留学して来たキャサリンです。皆キャシーと呼んでね」
東洋系で黒い髪でだったが、日本人ではない堀の深い顔の綺麗な人だった。
「私も、アメリカから留学して来たジェニファーです。通称ジェニーです」
プラチナブロンドで、少し肉付きのいいショートヘアの可愛い系の女の子だった。
「私は、イギリスから留学して来たレベッカです。ベッキーって呼んでね」
赤毛に近い髪をした女性で綺麗だった。
「この3人は、僕と一緒のゼミ仲間なんだ」
皆が紹介するたびに、拍手やヤジが飛び交いながら、お喋りが続き、歌った。
皆は、日本の歌が上手で、演歌からアニソンという取り合わせで、歌いあった。

清彦は、あれこれと進行役やサポート役となり、まめに気を使ってくれるのだ。

「清彦さん達は、よくカラオケするの?」
歌い終わり清彦が隣に座ったので、聞いてみた。
「そんなには、しないよ。毎日に近いほどアルバイトしてるからね。その息抜きで、月に2~3回かな?」
「アルバイト、やってるんだ」
「2つ掛け持ちのコンビニで深夜勤務かな。しかたないよ、親に仕送り無しという条件で学校に通ってるからね」
「仕送りが無いの?」
「妹が3人の4人兄弟で家計が厳しんだよ。だから、学費だけ親に面倒みてもらって、その他の費用は奨学金とアルバイトで賄ってるんだ」
「凄いね。よく、そんな条件で進学する気になったの?」
「家族を支えようと思ってねww。あまり親に負担掛けたくなかったし、俺が男で、よかったよww」
「男でよかった?」
「女だとしても、家族を支える進路を取ったと思うけど、こんな無茶な条件は、飲めないもんなw」
元々の双葉さんは、仕送り無しで頑張っていると、噂では聞いたが、本当だったんだ。
「女だったらって、考えた事ある?」
「考えた事ないよ。でも、もし、そうだったら大変だろうね。女だったら、キツイから2~3年したら生活が出来なくて風俗でアルバイトしてたりしてねww」
清彦は笑っていたが、俺は笑えなかった。でも、結果的には、男性になって良かったのかもしれないと考える事にした。
「家族が多いから、3人の妹さんの面倒もみてるんでしょう。大変じゃなかった?」
「少しは大変かもしれないけど、そうでもないよ。まあ、おかげで女の子の扱いも慣らさせて貰ったしww」、
「何、話してんだ?」
歩多繁が割り込んできた。
「清彦さんの志が素敵だなって話」
「俺に惚れるなよ! 俊亜季には歩多繁がいるんだからねww。苦労を比較するなら、俺よりマイクなんか、奥さんを置いて留学に来てるし、学費も生活費もすべて自分で賄ってるんだぞ。もっと大変なんだから」
「何か呼びました?」
「マイク、呼んでないけど、皆、苦労してるんだなって話をしてたんだよ」
俺は、人の物を横取りして幸せを奪っていると反省した。でも、清彦を女性に戻すのは、返って不幸になるかもしれないとも感じたが、自分を無理にでも正当化しようとしてるのかもしれない。
「そう言えば、歩多繁も、キャシー達と盛り上がってたじゃないかw。浮気するなよww」
「俺は、清彦のようなナンパ野郎と違って、俊亜季一筋だ!」
「熱いねぇ」

そうこうしている内にカラオケも終わり、皆と別れた。
歩多繁と一緒に途中まで、送って貰いながら、いろいろと、考えを巡らせていた。

歩多繁と別れ際に、強引にキスをされて、今までの、わだかまりが、吹っ飛んだ。
「ごめん、どうしても、したかったんだ」
「謝らないでよw。あたしは、嬉しかったのよw」
「じゃあ、明日な!」
「さよなら」

とりあえず、今の状況で、悪くない環境である事には違いないと思いなおし、今を楽しもうと思った。

俺は鬱的な事を考えている片隅では、カラオケの間もデイパックに入れてある、歩多繁のお母さんからのプレゼントが気になって、しかたなかったのだ。

自宅に帰りつくと、俺は、歩多繁のお母さんからのプレゼントをドキドキしながら、紙袋から中身を出して、愕然となり、驚く以上に、凄く悲しくなった。
「えぇ~何これぇ!」
ブラがTシャツに変わっていたのだ。そればかりか、ショーツまで、ブリーフになっていた。
「どうせ、着用しないつもりだったのに、ここまで等価交換の修正が入るとは、思わなかったよぉ」
折角、楽しみにして大事に持って帰ったのに、俺は独りで、ぼやきながら少し涙が出てきた。



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