等価交換儀式の選択肢を決めないと、いけないタイムリミットとして、いつの間にか木曜日が過ぎようとしていた。

結局、決められずにいたが、長期にわたって検討してきたので、等価交換儀式で、周囲への影響の大きい性別概念の等価交換は避けた方がいいと思っていた。

実際に、交友関係がこれほど、変わると元に戻しても、戻らない可能性も高いし、その修復に何度も等価交換を行わないと、いけないのではないかと結論に達した。
それに、女の子でいる事に違和感は無いし、この環境は、どうしても捨てられないのである。

そこで、残ったものとして、『歩多繁と俺の身体の等価交換』と『若葉と俺の身体の等価交換』であるが、ここは、歩多繁の生理での体調の悪さを目のあたりにして、代わってあげたいと思えるほどになっている。
愛する歩多繁の負担を避けたいが、ここで、大きな問題として、元々の男性の俺の身体が、歩多繁になり、付き合っていけれるかという事である。
やっぱり、歩多繁と俺の身体の等価交換をやってみて、どうしてもダメだったら、その時に考えればいいと結論に達した。

決行日の朝から準備に取り掛かり、学校では、素知らぬ顔で通した。
「俊亜季、今日はなんだか変よ。何があったの?」
若葉に言われて気がついた。俺は、何か言われてもうわの空で、時折、怖い表情でいたらしい。
「いえ、何でもないの。今晩から親元に帰省するからかなぁ」
そう言って、言葉を濁した。
「そう言えば、両親に歩多繁との仲を話すんだっけ、それで、心配なんだなw 頑張って来なさいね!ww」
勘違いされたが、そのまま、笑顔で返事した。

・・

「歩多繁、今晩から居ないけど、後は、よろしくね」
「わかったよw。事故には気をつけろよ。じゃあな」
そう言って、何事も悟られないようにして歩多繁と別れて、自宅に帰った。

夜になり誰も邪魔が入らないように遮光カーテンを念入りに確認し携帯電話の電源をオフにし、いつものように、儀式に必要な幾何学的な模様文字と呪文の楽譜はパソコンで印刷し、midi再生して最後の呪文朗読の最終チェックをした。
以前にもやってる同じ儀式を再度に渡って、違う人物同志で行うだけであるが、緊張していた。


・・・・・・・・

俺と歩多繁の身体の等価交換儀式を開始した。念を込めての呪文も間違いなく言えた。しばらく待っていると幾何学模様の文字が紙から外れて空中に浮遊し眩い閃光を放って消えた。
またもや動く事さえ困難な状態で、息も絶え絶えで、その場に倒れ込むように眠ってしまった。

・・・・・・・・


今度は、前回と違って、2時間程で目が覚めた。儀式に慣れてきたんだろうか・・・
まだ全身筋肉痛のような苦しみは、襲って無いが多分、スポーツをした直後同様で、後からやってくるのだろうと思いながら、身体をチェックしてみたのだが、女性の身体に変化していなかった。

失敗したと思って、落胆してしていると、体中が何だか、締め付けられるような感覚がしたと思ったら、CGのようなモーフィング映像を見てるかのように身体が変化していった。


10分もしないうちに、変化が終わった。

急いで寝室に行き、ドレッサーの前に立って、全身を大きな鏡に映して見た。
「凄い、本当に元々の双葉さんの身体だぁ」
まず、胸に手を当てて、触ってみた。存在感が在るのは嬉しい。何だか、カサカサと音がするので、何だろうと思って、ブラウスの隙間から、胸を覗くと白くて眩しいブラが装着されていた。
「もう、我慢できない」
そう言って、ブラウスもタイトのミニスカートも脱いで、下着姿を鏡に映してみた。
「す・・・凄い」
股間を触ってみたが、存在感も無かった。
こういう感覚なんだ。へぇ~と思いながら、何度も、すべるように触ってみた。
下着も脱ぎ、全裸になってみると、あちこちの肉が揺れるのである。
こんなにスリムで、贅肉が無いように見えるのに、全身のあちこちが、プルプルと面白いように小刻みに揺れる。何だか楽しくなって、背伸びしてみたりとか、腰を振ってみたりとかしてみて、揺らしてみた。他の女性も、こうなんだろうか・・・
そう言えば、裸で腰を揺すった時にも股間の物が左右の太ももにペチペチとぶつかってこなかった事を思い出し、吹きだして笑った。

「普通、男性の目線で、女の子を見た場合、もっと興奮して、オナニーすると思ったのになぁ。やっぱり、女性としての感情に飲み込まれたのかなぁ」
そう思って、股間を覗いて、溝に沿って指をすべらしたら、何か得も言われないような興奮が襲った。
「本当に無いんだぁ」
自分が触っているにも関わらず男性に股間を触って貰っているように思い興奮した。
片手で既に乳房をムニュムニュと揉みながら乳首も時折刺激して、余った片手は股間を刺激して、知らず知らずに、元来の男性である自分の姿を思い出し、俺は「歩多繁さ~ん」と言いながら、歩多繁の胸をや股間を触っているように思いながら、オナニーをしていた。

興奮が覚めず、何度も何度もオナニーでイッた。

あれから、何時間か過ぎて、自分のオナニー行為情けなくなった。それとともに、寂しい思いが襲って来たのである。
元来の自分の姿でいいから、歩多繁と愛されたい、本当にエッチが、したくて、したくて、たまらなかった。

俺は、重い腰を上げて、周りに散らばった下着や衣服を片づけて、愛液で濡れた絨毯のシミを拭きとりながら、自分が非常に情けない人であると感じていた。

とりあえず、お風呂に行って、身体を洗いたかった。できれば、自分の情けない汚らわしい行為を洗い流したかったのだ。
タンスの引き出しから、下着を取ろうとしたら、前には無かったブラジャーが色とりどりに並んでいるではないか・・・
「あれ?」
そう言えば、先程も着けた事のないブラをしていた事に気がついた。
ハンガーラックを見ると、今までの男の身体の寸法だった為か、ウェスト周りが広くて大柄な物だったのが、全てが、小さくなっていた。
「へぇ~」
そう言いながら、鏡の前に立って、あれこれと、ハンガーをつけたままの服を、全裸の身体にあてがってみてみた。
何だか、ウキウキしてきて、非常に楽しくなってきた。

ふと、気になって、歩多繁のお母さんの清美さんから貰ったプレゼントを取り出して、紙袋に手をいれたら・・・
「あれ?何で?」
下着とキャミソールだったのに、ブラウスとワンピースだった。
そう言えば、清美さんは、俺が、ブラをしていないのを気がついて、下着を作ってくれたのを思い出した。
全裸になる前にも当然のようにブラをしていた。だから、このように、修正されたのだと思った。

ブラウスとワンピースも、身体にあてがってみた。可愛いデザインで、特に胸からウェストにかけてのラインが綺麗で、自分の今の体型に合わせてあるのに感心した。



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