「向井君、いいペンダントでしょう。うふっ」
鈴木美沙先生は、胸元を大きく開き、乳房まであらわにして、ペンダントを向井徹こと俺に見せつける。
「鈴木先生、どうなさったんですか? 今日は、僕ひとりだけが、放課後に残されての補習授業じゃなかったんですか?」
「向井君は、堅いなぁ! それだから、彼女が出来ないのかな?」
徹を誘惑するかのように、もっと、乳房が見えるような姿勢をとり、急に雰囲気が変わった。

「なぁ、徹。鈴木先生のような姉貴が欲しいとか、できるならば、彼女にしたいとか言ってたじゃないか?」
「えっ?」
この雰囲気は、どこかで・・・そうだ!浜田敦志そのものじゃねぇか・・・

「敦志か?」
思わず、口から出てしまった。

「ピ~ンポ~ン! そうだよ! すげーだろ!浜田敦志が鈴木美沙先生になって徹を誘惑してるんだぞww」
「どうして、敦志が先生になってるんだよ」
「そ・れ・わ・ね! このペンダントが秘密さ!」
鈴木先生は、ブローチを指し示しながら言った。

「実はね、少し前にね、道端でふせって苦しがってる婆さんが居てね。危ないんで介抱して病院まで連れて行ったんだよ。先日その病院に見舞いにいったら多少元気になっていてね。そしたら、感謝されてね。ある人に貰ったブローチなんだが、私にはもう使えないから、あげると言って、もらったんだ。」
鈴木先生をした敦志が、そのブローチの内容を話してくれた。

・・・・・

要約すると、これには両手に持って念を込めると人格を複写して封じ込める事が出来て他人の首に着けると封じ込めた人格が主導権を奪って、その人を自由にすることができて、ブローチを外すとその間の行動は覚えていなくて元にもどり、ブローチに封じ込めた人格も無くなってしまうらしい。
しかし、念を込めるには、相当な精神力と体力が必要らしく、その婆さんには、その精神力も体力もないので、使用できなくなったらしい。

鈴木先生をした敦志の説明が終わると、突然に教室のドアが開き
「やあ!徹君」
と言って、敦志が入ってきた。
「何で2人いるんだよ。乗っ取ったんじゃないのか?」
「鈴木先生は、俺の人格と鈴木先生の記憶をもっている。俺の第二の身体なんだ」
「すげええ。俺にも使わせろよ」
徹が懇願した。
「それが、ダメなんだ。このブローチは、ブローチを主人と認めたもの以外は使えないだ。主人以外に譲る時は心から放棄しすると考えないといけないんだ」
鈴木先生が補足してくれた。
「いいなあ!」
「それに、あたしは、もう敦志君のものだし、既にエッチだってした仲なのよ~」
だらしなくニコニコしながら鈴木先生は、言ってのけた。
「俺もそういう事して欲しいな」
「徹君となら、エッチしてもいいわよ。だから~、秘密までばらして誘惑してるんじゃない」
鈴木先生が、いやらしく誘惑モードの表情になって答えた。
「実はな、鈴木先生と俺と間に少しだけテレパシーみたいなもので繋がってるんだ。だから、ほんの少しだけどある程度ことなら分かってしまうんだ。それで、何をやって欲しいとか事前に分かっちゃうと、マンネリ化しててね。そこで、徹君に協力を願おうと思ったんだ。」
敦志が真顔で答えた。
「だ・か・ら~、いろいろと奉仕してあげちゃうわよ」
「本当に!やった!」
「じゃあ了解してくれるんだ。俺も鈴木先生の立場を利用させてもらって、いろんな事をしてみたから、何か、突拍子もない事をしたくなってな」
「そうなのよ。だから、他の男性ともしたくなってね。でも、知らない男性とは、勘弁して欲しいし、先生と生徒って萌えるじゃない」
「先生の立場? もしかして、いつもだったら敦志と一緒に補習なのに今回は、俺独りということは・・・」
「すまん!事前に、テスト内容が筒抜けだったんだ」
「テスト内容が分かってたんなら、俺にも、教えてくれればよかったのに・・・  いや待てよ。親友なんだから、事前に改ざんするとか、抜き打ちテストを中止するとか出来たじゃないか?」
「あたしの立場も考えてよ。抜き打ちと言っても、いつもの事だし、急にやめると不審がられるしテスト返却時に書き換えられてると、徹君が変に考えてしまうじゃない」
「そ・そうだけどさ・・・・」ふにおちない感情を拭えずにいた。
「テスト内容を俺が横流しして、おまえが、信用したか? いつもおまえと同じ悪い点数しかとらない奴からの情報なんて信頼されないし、信用させようとすれば鈴木先生との関係の秘密を話さないといけないじゃないか」
「それより、あたしのこれからの状況を楽しみましょう。敦志く~ん、先に先生の部屋に行って部屋の掃除と洗濯をよろしくね」
「ひでーな、俺にそんな事させるのか? まあいいか、先に行って準備してくるよ」
敦志はブツブツ言いながら教室を出ていった。

「向井君、じゃあ、補習の続きをしましょうね」
「えぇ!ほんとに補習をやるの? やらなくてもいいじゃん」
「先生に向かってその言い方は無いんじゃない? 先生の立場も考えてよ。お願いね。」

いつもキビキビした態度で話していた先生の態度が柔らかく話してくるので、無理やりに自分を納得させることにした。



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