「敦志、いい加減にしてくれよぉ。俺の体力が持たないよ」
「何の話だ?」
「知ってるだろうが、秋山先生と繋がっているんだから・・・」
「すまん。今は、繋がってないんだ」
そういって、ブローチをポケットから、チラッと出して見せた。

「えっ?でも、秋山先生は、敦志との仲の事も言ってたし、いつもと変わらなかったぞ。何がなんだか、わからなくなってきた」
「徹が、鈴木先生に暗示で、徹の人格を植え込んだのをヒントにして、同じように徹の人格にしてみたんだ」
「何で、そんな事したんだよ」
「学園祭のミス学園コンテストを何とか復活させたくてね。徹に言って無かったのは、すまなかった」
「ミスコンは、何とかなるのか?」
「たぶん、何とかなると思う。この高校の理事長の娘をターゲットにしてるんだよ」
「誰だ?その女の子は・・・」
「調べて分かったんだが、うちのクラス委員長の斉藤奈津江さんだよ」
「えぇ~! あの委員長の親が理事長なんだ。皆に好かれるだけあって、美人だけど、お嬢様ぽくないし、そんな権力なんか持ってるような素振りしてないのに・・・」
「俺も、知ってビックリしたよ。そこでだ、俺は斉藤さんになって親を説得してミスコン開催を支持してくれるようにお願いしてみるつもりだ。それに、斉藤さんは生徒会の役員でもあるから、融通も効くと思うんだ」
「それで、いつやるんだ?」
「今日の放課後に実行してみるつもりだよ」
「そうかぁ~、ミスコンかぁ~、嬉しくなってきたよ」
「そうだ、昨日、先生達と何があったんだ?」
「えっ何?、すまん、自分の世界に入ってた。先生達と何だんだって?、あ~、忘れてた。昨日、二人に迫られて、俺の体力を根こそぎ奪ったんだよ。腰は痛いし、大変だったんだから・・・」
「俺も見たかったなww」
「そんな、他人事みたいに・・・。そうだ、俺の人格にしたとか、言わなかったか?」
「抜け出る時に、俺との関係はポーズだけで付き合っていて、実際は無い事にして、俺を出汁に使って鈴木先生と徹に会った事にしたんだ。俺との付き合ってた出来事を徹に置き換えておいて、俺と徹だけに暗示が使えるようにして、その後、暗示をかけて徹の人格にしたんだ」
「なんで、俺にしたんだ?」
「秋山先生は、徹が好きで、横恋慕で美沙との間に割って入ろうという事にして、徹の人格にする事で、3人でうまくやっていけれるようにしたんだ。我ながら、いいアイディアだと思ったよww」
「でも、何か、おかしくないか? 鈴木先生が何で秋山先生と結託して、俺に迫ってきたんだ?」
「俺にも分からんが、秋山先生が、うまく説得したんじゃないかなあ。でも、2人して迫るとは思わなかったなぁ」
「それとなく、あとで聞いてみるよ。じゃあ、秋山先生を俺に譲って、先生との関係は無くしたんだけど、いいのか?」
「俺のお古を押し付けて、少し不満か?」
「そういう訳じゃないんだが、気になって・・・」
「俺は、次の斉藤さんが、いるから、いいんだよww」
「いいなぁ、いろいろと楽しめて・・・」
「お前も、楽しんでるじゃないかww。ただ、体力勝負になっているがww」
「まあなww」

・・・

放課後になり、敦志は斉藤さんに、人気の無い所で話がしたいと言って、体育館裏に呼びだした。俺は、密かに物陰から覗いていた。

「斉藤さん、来てくれたんだ」
「話って何?、これから生徒会の集まりが有るから、短めにお願いね」
「斉藤さん、これを受け取って下さい」
そう言って、ブローチをポケットから取り出した。
「付き合ってもないのに、私、そんな物、受け取れないわ・・・・」
怪訝そうに言ったその時にブローチが、一瞬、淡い光を放ったように見えた。斉藤奈津江は、そのブローチに見入ってしまい、いつの間にか、受け取っていた。
「何だか知らないけど、とても嬉しいわ。今、着けてもいい?」
「着けてあげるよ」
敦志は、斉藤さんにブローチを付けた。一瞬にして、斉藤さんの身体の力が抜けて、敦志に縋り付くように、その場にしゃがみ込んだ。
「大丈夫か?」
敦志が声をかけたが返事が、すぐに返ってこなかった。
「・・・・うっ・・・あっ・・・あぁ、大丈夫だ。へぇ~、これが、斉藤さんの胸かぁ、いいねぇ。若いだけあって、張りがあるよ」
斉藤さんは、起きるとすぐにブラウスの皺も気にする事なく、自分の胸に手をやり、揉み始めて、急に何か気になったのか、ポケットを探り出し小さな手鏡を取り出して、うっとりと、自分を眺めていた。
「生徒会が、あるんじゃなかったのか?」
「あっ、忘れてた。行かないと・・・、その前に・・・お~い、徹~、そこに隠れてるんだろ、こっちへ来いよ」
俺は、斉藤さんに呼ばれて、近くまで来た。
「本当に斉藤さんになったんだ」
「そうよ。私って、スタイルいいし、美人でしょうww」
胸を印象づけるようなポーズをとって、俺に見せつけた。急にいやらしい表情を見せたかと思うと、俺の腕を掴み、斉藤さんの股間に手を誘導しながら、スカート越しに擦りつけて、肩を抱き寄せて、いきなりキスをしてきた。
「うわっ・・・」
「もっと、触っていいのよ~。あぁ~いいわぁ、何か変な気分になっちゃった・・・・徹君、この続きは後でしましょうね~。私、これから、生徒会だから・・・」
そう言って、斉藤さんは、駈け出して、校舎に向かっていった。
「えぇ~、生殺しのまま、いくのかぁ~」
「いいじゃねぇか。いつでも出来るんだからwww・・・」
「俺のナニが、いきり立って、収まらないよぉ」
俺は、股間を抑えつけて、しゃがみこんだ。
「鈴木先生に収めてもらえよww」
「なんだよ・・・二人してぇ・・・」
「俺も、段取りを考えるから、先に帰るよww」
「置いてけぼりかい」

俺は、モヤモヤした気持ちのまま、鈴木先生のマンションに急いだ。



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